2005年 05月 06日
神話の束縛 |

MINOLTA TC-1
ズミクロン35mmといえば最初期型、通称8枚玉が超が付くほど有名なレンズです。描写についても神話にふさわしく優秀性を説く記事は枚挙にいとまがありません。しかし実際の描写がどうなのかというと雑誌の掲載写真のようなものでは少なくとも私には判別出来ません。言葉で幾ら優秀性を説かれても今ひとつ納得出来ないでいる訳です。
MTF曲線に現れる絞り込んでも中心部のコントラスト上昇に比べ外周部のコントラストがあまり上昇しない事によって立体感が出るということは理解出来ますがあくまでも描写の一要素に過ぎません。この8枚玉の後に発売された6枚玉では8枚玉の欠点を改善した結果、レンズの周辺部まで均一な解像(外周部にはまだ甘さが残っています。)とコントラストの高さを得た。そして6枚玉に代わって発売された7枚玉はよりいっそうの解像度とコントラストの向上を図りカラーバランスも良くなり現行のASPH(非球面)モデルに至っては最高の光学性能を誇っているにもかかわらず世間の評価は「8枚玉最高」なのである。
光学性能の良し悪しと描写の好みが一致しないことは明白ではあるが世間で言われているほど8枚玉の描写が優れているのだろうか?言い換えれば「自分好み」の描写なのか?という疑問がいつもついて回ります。
考えあぐねた結果ズミクロンならば6枚玉の初期型の角付きあるいはズミルックス(開放時の描写ばかり取り上げられるが中間絞りでは繊細な描写をします。)が「自分好み」の表現をしてくれるのではないかと結論付けた訳だが未だに手に入れるまでには至っていません。なぜなら6枚玉やズミルックスを気に入ったとしても「神話の8枚玉」の存在があるからです。神話の束縛から抜けられないのは病気であることに違いありません。その病気を治す方法は忘れ去ることか神話の海にどっぷり浸かるかです。
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by leica-m8
| 2005-05-06 14:49
| LEICA