2005年 11月 12日
カメラバッグ |
Rolleiflex 3.5F Planar 75mmF3.5
男は軋る階段を上り、廊下の突き当りまで重い足取りを進めた。鍵穴に鍵を差込みドアを開ける。手にはまだ震えが残っているようだ。
大儀そうにカメラバッグを書き物机に投げ出し、男はベッドの上へ仰向けに倒れ込む様に寝転んだ。今日の戦闘は酷かった。
「あの谷はやばいところだぜ。」とブリーフィングの時、グレッグ少尉が言っていた通りヴィエン村の5km手前で奇襲を受けた。側溝に転がり込んだ所まで覚えているが後は夢中だった。
ファインダーを覘いている時は自分でも信じられないほど冷静でいられたことだけを覚えている。ファインダーの中で傷つき倒れていく兵士たち、映画のように現実感が無い。しかしこれは現実だ。俺が選んだ現実だ。
「マーク、そこに行けばあなたの写真が撮れるの?世界でいちばん危険な場所よ。」
「エレン、分からないよ。でも自分の目で確かめたいんだよ。」
「なにを?」
「なにかさ。」
「ばかげているわ。」
「あぁ。」
男は、硝煙と泥と血で汚れたカメラバッグの中から愛用のカメラを取り出し鏡に写った自分に静かにシャッターを切った。
「今日も俺は生きてるぜ。」
(想像で書いた文章です。現実の話ではありません。)
実際に戦場に行くことはありませんし、戦場など無い方がいいに決まっていますがこんなカメラバッグに憧れます。コットン地がよれよれになったやつってカッコイイ。今所有しているカメラバッグの中でDOMKE F-2がいちばん古いバッグですが機材が小さくなってあまり持ち出さないのでよれよれにはなっていませんね。街中でコットン地よれよれのカメラバッグを持った人を見るとコットン地の小ぶりなバッグが欲しくなります。(カメラバッグに関わらず元来バッグ好きなので、カメラの数よりカメラバッグの数の方が多くなりそうな勢いです。)
by leica-m8
| 2005-11-12 21:50
| colum