2005年 06月 14日
掘り出し物 |
Leica Ⅲf Elmar5cmF3.5
打ち合わせが思ったより早く終わり中途半端な時間に駅に着いた。朝夕はもう少し本数があるのだが昼間のこの時間は1時間に1本の列車だけだ。発車したばかりのようで次の列車までに1時間ほど間がある。
栃木駅の一つ先の駅なのだが無人駅だ。そういえば乗り換えた栃木駅も寂れた駅だった。栃木県の栃木駅なのだからもっと大きい駅を想像していた。
喫茶店ででも時間を潰そうと思ったが現場からの道のりにも喫茶店らしい店は無かった。駅の反対側に行って見る。喫茶店は無かったが古いカメラ店が目についた。どうせDPEの取次ぎ店ぐらいだろうと思いながらもカメラ店を見つけると素通り出来ない。
近付くと思ったよりも古い店だ。店の奥に少し黄ばんだ懐かしいミノルタの宮崎美子のポスターが張ってある。壁のガラスケースの中に古いカメラが十数台展示されている。展示されているというよりその空間だけが時間から置き去りにされたようだ。
店番のおばあさんに軽く会釈をし、見せてもらう。コニカやミノルタの古いカメラが多い。ヤシカの二眼レフもある。「値札が付いていないけど売り物なの?」と聞くと「お入用でしたらお売りしますよ。」とおばあさん。ご主人が亡くなられてからは商売にはしていないようだ。
一番上の棚の隅にそれはあった。LEICA M3、ブライトフレームの切り替えレバーの無い初期のM3が当時の箱に入って置かれている。姑息だがライカという言葉を言わない方がいいような気がして「一番上の棚にあるあの古いカメラはいくら?」と聞いてみる。おばあさんは座敷から店の方に下りて来て、あぁあれね。あれはちょっと高いですよ。確か舶来物だよ。5万円だな。
駅で列車を待っている間も落ち着かない。おばあさんが駆けて来て「値段が...。」と言われそうで早く列車が来ないかなとそればかり考えていた。列車のドアが閉まり発車した途端にフーっと息が漏れ、体から力が抜けた。膝の上の包みの重さが実際の重さより重く感じた。
...ってこんな話は無いですかねぇ。
by leica-m8
| 2005-06-14 00:09
| colum